長距離航海者の広場
泊地情報
【北太平洋ミクロネシア諸島】
コスラエ:Kosrae
(ミクロネシア連邦)
◇基本情報
◇エントリーパーミット:Entry Permit
 ポンペイの泊地情報にも書きましたが、ミクロネシアにヨットで訪問するにはエントリーパーミットが必要です。在日ミクロネシア大使館で取得出来ます。海外のミクロネシア大使館でも同様に取得出来ますが、全ての国に大使館や領事館があるわけでは無いので、取れる国は何処なのか予め調べておきましょう。エントリーパーミットには有効期間の設定がありますが、期限切れでも持っていれば新しい期限の物を取るのは簡単です。パーミットを持たないでも入港出来ると言う話は聞いたことがありますが、確実な情報とは言えないのでやはり取得しておくべきでしょう。また行政の中心地であるポンペイに比べ、コスラエでは諸手続きに融通が利かなかったり、時間がかかったりする事が考えられるので注意が必要です。
◇アプローチ
 コスラエ島周辺にこれと言ったハザードは存在しません。島に寄りすぎてリーフに突っ込まない様に注意しましょう。
 コスラエにはレルハーバーとオカットハーバー二つの港があり、レルは島の東に、オカットは西に開いています。オカット港に関する海図は無く、また殆どのクルージングガイドにも詳しい説明はなされていないので、特別な理由が無ければレルハーバーに入港すべきだと思います。
◇エントリー:レルハーバー
 レルハーバーはコスラエ島とレル島に挟まれた入り江にあります。島と島を繋ぐコーズウェイを海を埋め立てて作られたために、昔はともかく今は「入り江」になっています。
 航路標識は2003年の時点では海図通りに設置されていました。パスはヨットが通り抜けるには十分な幅があります。図の様にリーフの切れ目を抜けてからビーコンを境に二股に分かれる水路を奥に向かって右手に進みます。古いワーフを通り過ぎた辺りで皆アンカーを打つ様です。「新月」が入った当時はローカルのヨットが二艇ほど錨を下ろしていたので、まだそれらがあるなら近くに留めれば良いでしょう。
◇入港手続き
 入港手続きは、本来であればアプローチ前に無線でハーバーマスターをコールしておけば手配してくれる手順になっているのでしょうが、実際にはコールしても返事が無い事が多い様で、私の時も同様でした。仕方が無いのでやはり本来ならいけないはずですが無許可で上陸してしまい、地元の人を見つけて係官を呼んでくれる様お願いしました。ミクロネシアでは入国手続きにはお金がかかりませんが、検疫は有料です。また通常検疫は入国時に一度受ければその国にいる間は再度受ける必要はありませんが、ミクロネシアでは州を移動する度に受けなければならず、その都度費用も発生します。「新月」はポンペイで入国の手続きは済ませていたので、コスラエでは検疫のみ受けました。
◇エントリー:オカットハーバー
 オカットハーバーはミクロネシア独立前夜にリーフを埋め立てて建設された空港に隣接して、やはり同時期に作られた新しい港です。現在のミクロネシアの殆どの海図は、日本統治時代の情報にアメリカ統治時代の情報を補足して作られた物で、2003年の時点でオカットハーバーはエントリーの海図どころかコスラエに関係するいかなる海図にも(私が探した限りでは)記載されていませんでした。従ってここに紹介する入港方法は海図を元にしたデータではありませんので、その旨ご了承下さい。オカットハーバーは商船用の港なので、パスはヨットには十分な幅を持っています。ルートを示すビーコンは古い物と新しい物と2セットありますが、私が入港方法を尋ねた商船の船長さんによるとどちらもセンターラインは外しており、双方の示すラインのちょうど中間あたりが真のセンターラインなのだそうですが、実際には新旧どちらのビーコンに従っても本船での入港が可能なのだそうで、ヨットが気にするような事柄では無いでしょう。ビーコンに従って進入路を進むとその先で航路標識に突き当たります。この航路標識は岩の上に建っているので、進入方向に向かって左手に見える航路標識を過ぎた辺りで岸壁の方に転身しましょう。
 オカットハーバーの岸壁は商船の舷側に合わせて設計されている為、ヨットで着岸するには高すぎます。もやいは誰か上に人がいない限り昇降用の梯子にしか取れないと思います。岸壁に向かって強い風が吹いている場合には着岸はお勧め出来ません。港内には黄色い検疫用?の大きなブイが3個設置してあるので、輪投げの要領でロープを投げ、このブイを拾っても良いでしょう。アンカーを打つこともおそらくは可能でしょうが、残念ながら情報がありません。ちなみに「新月」はレルで入港してからオカットに移動したのですが、予め空港の隣に建つ港湾管理局に許可を得てから船を動かしたので、オカットから初めてコスラエに、またはミクロネシアに入る場合の正しい手順は厳密には分かりません。もう一つ知っておくべき事は、港湾管理局に許可をもらいに行くと、滞在日数に従った港湾使用料を請求されます。レルに入っても制度上は払わなければならないと言う説明でしたが、実際にはレルに留めて港湾使用料を払ったと言う話は聞いたことがありません。いずれにせよ特別な理由が無ければオカットに入るメリットはあまり無い様に思います。
◇補給
 水は基本的に雨水頼みです。ポンペイ程では無いにせよ、コスラエもよく雨が降ります。大気は全く汚染されていないので、飲料にも問題の無いきれいな水を集めることが出来ます。町の人に頼んでも貸してくれると思うので、困ったときは相談してみましょう。食料の事情はあまり良くありません。元々島民は野菜を摂る習慣が無かったそうで、あまり流通していませんでした。アメリカや日本等から海外援助の為に訪れている人達向けに、市場ではたまに青い野菜を見かけました。月に二度程やってくる補給船が着くと、その後一週間程はスーパーに野菜が並ぶので頑張って買い貯めしましょう。
 給油も結構面倒です。軽油を売っているガススタンドを探しだし、ポリ缶を持って買いに行き帰りはタクシーで運ばなければなりません。スタンドでの軽油の保管方法も私が見た時はちょっと不安に思えたので、フィルターを持っていたら利用しましょう。
◇その他のサービス
 インターネットや国際電話はテレコムの建物で利用出来ます。また日本人の経営するダイビングショップがありました(共に2003年時点での情報です)。
◇注意が必要な事
 コスラエでは宗教習慣的理由により、日曜日は休息日とされています。働く事、屋外で遊ぶ事等は慎む習わしになっているので、なるべく現地の習慣に逆らわないようにすべきでしょう。
 熱帯の島国は何処も同じ様なしきたりと思いますが、道端に生えている草木、自生している果物や野菜にはちゃんと所有者がいます。断り無く持ち帰ることは止めましょう。一声かければ殆どの場合快く譲ってくれるか、とても安い値段で売ってくれます。最もこの様な場合に一番手間がかかるのは、持ち主を見つける事ですが。
注意 ヨット「新月」の滞在期間は2003年2月より2003年4月までです。したがって上記情報も基本的にはその当時のものですので、現状とは異なっている場合が考えられますからご注意ください。