長距離航海者の広場
エッセイ
【テーマ:食事について】
食事の話
(Blue Fantasy:2006年10月04日掲載)
1.航海中の食事
 私達の場合、1週間以内の航海がおそらく年を通して90%くらいを占めます。従って出航直前に作り置きしておくと、それで数日間は手間のかかる料理はしないで済みます。もちろん冷蔵庫あっての話ですが。作り置きしておく料理は、ポテトサラダ、マカロニやスパゲッテイとそのソース、チャーハン、ひき肉の味付け、五目寿司、稲荷寿司、にんじんサラダ、酢の物などです。航海中はもちろんトローリングをしますが、食べきれないときは火を通して真空パックにすれば、2週間は持ちます。特に気をつけているのは、食べ物の腐敗です。少しでも怪しいと思えば、迷わず捨てることにしています。メキシコでのクルーザーのパーテイに出たとき、50人ほどの人が食中毒になり、その恐ろしさを身にしみて感じました。
2.アンカレッジでの食事
 アンカレッジでは殆ど陸上に居るのとあまり変わらない食生活ですが、食材は勿論土地の産物次第です。始めて見た物に挑戦するのが、なんとも言えないスリルがあり、冒険心を満たしてくれます。航海中の粗食が続いた後ということもあり、女房も張り切って料理を作ってくれるので、アンカレッジでの食事はクルージングの最も楽しいことのひとつになっています。
3.野菜
 仕入れる野菜は定番の、いも、玉ねぎ、人参ですが、一番持たないのは人参です。新聞紙に包んでおくと少しは良いようです。長持ちする野菜で抜群なのはジカマという形が白いかぶに似た根菜類です。これは風通しさえ良くしておけば1ヶ月以上持ちます。千切りにしてそのままサラダにするとサクサクト歯ごたえが良く、癖の無い野菜です。ジカマは北米、中南米、東南アジアなどに産します。
4.食物保存法
 食物を長持ちさせる工夫としては、卵など新鮮で冷蔵庫に入れたことの無いものを買い、毎日ひっくり返してやると常温でも長持ちします。根菜類は土をつけたまま保存すると長持ちするのは常識ですが、大抵の野菜は濡れた新聞紙に包んでおくと良く持ちます。
5.冷蔵庫
 冷蔵庫は長期のクルージングには必要不可欠と思います。クルージングには苦しいことがつきものです。せめて食生活を豊かにすることがクルージングを楽しいものにし、ひいては成功に導くかぎの一つと信じます。私達が使っている冷蔵庫は12年前に買ったアメリカ製の12ボルト、アドラー・バーバーですが、未だに健在です。
6.保存食
 お勧めの保存食としては、ひき肉をしょうゆと少々の砂糖でカラカラに炒めたものがあります。ガラスのジャーに入れておくと冷蔵庫で1ヶ月以上は持ちます。これはご飯に乗せたり、野菜炒めに、スープに、カレーライスに、その他いろいろなことに使えてとても便利です。
7.食材入手方法
 食材を入手するアイデイアとして、例えばマンゴの季節に朝の散歩に行くと道端にマンゴが沢山落ちているときがあります。すぐビニール袋いっぱいになったことがありました。農家の人に野菜や果物を売ってくれないかとお願いする手もあります。すると50%くらいの確立でただでくれます。後からお返しを持っていくと食事に呼ばれたりして、思わぬ親交に発展したりします。
「Blue Fantasy」
航海時期 1994〜2007(現在も航海中)
航海エリア サンフランシスコ〜パナマ〜カリブ海一周(4年半)〜パナマ〜南太平洋〜メラネシア〜ミクロネシア〜フィリピン〜現在マレーシアのボルネオに上架中。この先シンガポール、タイと回って行く予定。