長距離航海者の広場
エッセイ
【テーマ:出航前準備について】
アンケート回答例:「花」の場合
(2007年02月12日掲載)
【質問1:スムーズに走れた場合の行程を約一週間と見積もった場合、一人につき何日分の食料を積んで行きますか? その理由は?】
 物価の安い場所で米や麺類、缶詰などの保存食をまとめ買いするので、一概には言えません。
 航海が一週間ぐらいだから手持ちの食料は二週間分、というような量のことはなく、ほとんどいつも二、三ヶ月分以上は持ちます。一週間と見積もっても、途中で何が起こるかわからないので、一、二ヶ月分の保存食は持つべきだと思います。
 生鮮食品は、次の入国の検疫のことを考えて、検疫のきびしい国に向かう場合は、使いきれる量を考えます。
 国内で移動する場合、田舎へ行くと店や物があまりない場合もあるので、あらかじめ行き先の状況がわかれば、多めに買っておきます。
【質問2:スムーズに走れた場合の行程を約一週間と見積もった場合、一人につき何日分の飲料水(ジュース等や料理用を含む)と生活用水を積んで行きますか? その理由は?】
 これも、母港→行き先→母港という短期間旅行でなく、長距離航海の一部である場合は、見積もり日数にかかわらず、常に持てるだけ持ちます。
 短期間の場合も、一週間もかかる距離になれば、ロングクルージングと同じ備えは必要だと思いますが。
 水タンクを満タンにし、さらに二十リットル入りポリタンを二、三個持ち、あと二リットル入りのペットボトルを百個以上持ちました。トータル400リットル位。水は飲料と食用で、一人一日二リットルぐらい使うようです。
 航海中は海水をよく使うので、生活用水はほとんど減りません。でも、常に満タンにしておくと、次の港での補充が簡単です。ディンギーにポリタンを積んで遠くまで汲みに行かなかければいけない場所もありますから。
 また、漂流などの事態への備えになります。
【質問3:スムーズに走れた場合の行程を約1000マイルと見積もった場合、どの位の燃料を積んで行きますか?その理由は?】
 これも同上。長距離航海の一部であれば、距離にかかわらず、通常は満タンにします。ただ、そこの燃料の質が悪かったり、非常に値段が高い場合は、次の港まで我慢することもあります。
 燃料タンクを満タンにし、ポリタンを六から八個持ちました。三、四日はエンジンだけで走れる量です。
 燃料はたくさんあったほうが安全対策になります。
【質問4:船外(デッキ上や船底等)に於ける準備はどのような事を心掛けていましたか?】
潜ってプロペラと船底をチェックする。
船内に収納できないゴムボートなどは、しっかり固定する。
アンカチェーンをアンカーから外し、船内に収納する。これはウインドラスのチェーンの穴をふさぐため。この穴をふさいでおかないと、チェーンロッカー(キャビン)に波が打ち込む。
アンカーの固定。
船外機はキャビンに収納する。
リギンとセールのチェック。
シャックル、スタンションなど、見えるところ全体。
フェンダーをキャビンやロッカーに収納する。
出港後、ボートフックを収納する(デッキに置き忘れて失くしやすい)。
【質問5:船内に於ける準備はどのような事を心掛けていましたか?】
激しく揺れても大丈夫なように、物をロッカーに収納する。
濡れて困る物はきちんと収納する(ノートパソコン、ラジカセ、本など)。
途中で使う海図を、出しやすい場所に収納する。
エンジンチェック(オイル、オイルフィルターの交換、ベルトのゆるみ等)。
トイレの配管の詰まり具合をチェックする(定期的に)。
バッテリーの液量チェック(定期的に)。
航海中の食料を出しやすいように収納する。
パスポート、クレジットカード、船の書類、現金、T/Cなどの貴重品を、非常持ち出し袋(防水袋)に入れておく。
次の国や港で必要になる手続書類などを揃えておく。
【質問6:買い物に於けるコツやアイデア等ありましたら教えて下さい。】
安い場所でまとめ買いする。
外国のエキゾチックな食材は、いくら安くても、料理の仕方が思いつかなくて、普段の食事にうまく生かせない場合があるので、米、麺、じゃがいも、たまねぎ、にんじん、などの基本食材をそろえることは大事。
中華街や中国人経営の食材店があれば、乾物やあずき、大豆、はるさめ、乾麺、中華スープの素、中華の調味料などが手に入る。
日本食材店の日本製品は、日本の値段の二倍以上するところが多いけれど、欲しいと思ったものは思いきって買うほうがいい。もっと安い所でと思っていると、なかなか安い場所に出会わない(せっかく行ったのに値段に驚いて買わなくて、あとで後悔する時があるんですよね)。
【質問7:出港前準備で特に苦労されたエピソードなどありましたらご紹介ください。】
 ――無回答――
【質問8:出港前準備で常に心掛けている事を教えて下さい。】
 日数を長めに見積もること。無理なスケジュールを立てない。
 何日にどこで誰を拾う、という予定を立てた時に限って天気が崩れて、悪天でも出なければならなくなった船を見ています。待ち合わせは、何日か早く着くように計画する。
【質問9:その他、出航前準備に関わる事で、何かコツやアイデア、思い出に残るエピソードなどありましたらご紹介ください。】
 ――無回答――
「花」 トラベラー32 アメリカ製 FRP カッターリグ
航海時期 2000年6月〜2004年7月
航海エリア 太平洋一周(アラスカ、カナダ、アメリカ西海岸、メキシコ、マスケサス、タヒチ、サモア、トンガ、ニュージーランド、フィジー、ニューカレドニア、バヌアツ、ミクロネシア連邦、グアム)