長距離航海者の広場
エッセイ
【テーマ:出航前準備について】
アンケート回答例:「Blue Fantasy」の場合
(2007年01月21日掲載)
【質問1:スムーズに走れた場合の行程を約一週間と見積もった場合、一人につき何日分の食料を積んで行きますか? その理由は?】
 3週間分くらいの食料を用意します。野菜は腐って捨てるのを覚悟で多めに積みます。
 ヨットのクルージングは常に最悪の状況に直面することを前提に行動しなければならないことを考えると、食料は多めに用意するべきと思います。
【質問2:スムーズに走れた場合の行程を約一週間と見積もった場合、一人につき何日分の飲料水(ジュース等や料理用を含む)と生活用水を積んで行きますか? その理由は?】
 メインタンクと飲料水用のポリタンを満杯にします。これは二人で1ヶ月以上の使用量です。水は補給できるところで常に満タン補給するようにしています。何故なら次の寄港地でよい水が手に入るかどうか分かりません。また生活用水は使える量が多いほどセーリングは快適なものとなります。
【質問3:スムーズに走れた場合の行程を約1000マイルと見積もった場合、どの位の燃料を積んで行きますか?その理由は?】
 メインタンクと燃料用ポリタンを満タンにします。合計260リッター、機走時間約150時間です。何かの理由でセーリングが出来なくなった状況を考えると、当然の結論です。
【質問4:船外(デッキ上や船底等)に於ける準備はどのような事を心掛けていましたか?】
 すべての動く可能性のあるものが荒天でも動かないようにラッシングします。私たちのふねは1メートルのバウスプリットの先端にアンカーローラーがついているので、アンカーをコックピットロッカーに収納します。一度これを忘れたことがあって、そのとき荒天に遭い、アンカーローラーの直径1センチのボルトが2本折れたことがありました。2−3日の航海の場合はアンカーはそのままにします。ビルジの水は出しておきます。
【質問5:船内に於ける準備はどのような事を心掛けていましたか?】
 デッキ上と同様、動きそうな物は動かないようにし、食器や調味料がお互いにぶつかって騒音が出ないように大きなスポンジのクッションを戸棚に入れます。
【質問6:買い物に於けるコツやアイデア等ありましたら教えて下さい。】
 特にありませんが、紙で出来た卵のケースや、段ボール箱は、ゴキブリ発生の原因になるので、決して持ち込まないようにしています。野菜、果物は出来るだけ船外で洗うようにしています。
【質問7:出港前準備で特に苦労されたエピソードなどありましたらご紹介ください。】
 ――無回答――
【質問8:出港前準備で常に心掛けている事を教えて下さい。】
 目的地までの行程の中に島や障害物があるような場合には、GPSに詳細なウエイポイントを入れることはもちろんですが、出航前に何度もチャートを見て、できるだけ自分の航路を頭の中に入れるようにします。そうすることによって夜など疲れているときのナビゲーションの思い違いなどを防ぐことが出来ると思います。
【質問9:その他、出航前準備に関わる事で、何かコツやアイデア、思い出に残るエピソードなどありましたらご紹介ください。】
 出港準備というのは確かにクルージングの中で最も大切な時のひとつと思います。時間に追われて急いで準備するとろくなことがありません。準備は早めに終えて、出航直前にはゆっくり音楽でも聴きながらコーヒーをすするくらいの余裕が欲しいものです。物理的な準備だけでなく、心の準備の大切さも実感します。
 アンカレッジから翌朝、夜明けとともに出航しようとしていたときがありました。アンカーを上げようとしたらチェーンが岩に絡まって上がりません。前日いくらでも時間があったので、アンカーの様子を見ておけばよかったと反省しました。出航が遅れ、その日は一日中次のアンカレッジに暗くなる前に着けないのではないかと、ずっと心配していました。
「Blue Fantasy」
航海時期 1994〜2007(現在も航海中)
航海エリア サンフランシスコ〜パナマ〜カリブ海一周(4年半)〜パナマ〜南太平洋〜メラネシア〜ミクロネシア〜フィリピン〜現在マレーシアのボルネオに上架中。この先シンガポール、タイと回って行く予定。