長距離航海者の広場
泊地情報
【北太平洋マリアナ諸島】
グアム:Guam
(アメリカ合衆国)
◇基本情報
※1: アガニアボートベイスンのインサイドマリーナはゲームフィッシングボートのベースであり、2003年2月時点ではヨットが入れませんでした。アウトサイドには係留可能かも知れませんが、現在入国手続きが可能かどうかは情報がありません。
◇ビザ:VISA
 グアムを含むアメリカの領土に入国する際には、ビザが必要です。国と旅客船舶や旅客航空機会社が提携したビザ免除プログラムを利用する場合はこの限りではありませんが、個人所有の小型船舶で入国する際には、必ず必要になります。グアムにおいては、NYのテロ以前はビザ無しでの入港者にもその場でビザを発行(けっこう高額の請求だったので、罰金の意味合いが強かったと思われる)していましたが、2002年11月の時点で管理人は入国が拒否される船の乗員を目撃しています。現在もおそらくビザ無しでの入国は出来ないでしょう。グアムへの寄航を予定されている方は、ビザの取得を忘れないよう充分に気をつけてください。
◇24時間前連絡
 航海中に無線で又聞きした情報なので余り詳しいことは分かりませんが、グアムを含むアメリカ領土に船舶で入港する際には、到着の24時間前に連絡を入れねばならないそうです。これはNYのテロ以降に取り入れられた規則ですが、それでも管理人がグアムに入港した2002年の6月にはまだこのようなルールはありませんでした。しかし2004年8月頃の時点では既に施行されていたようで、グアムではありませんがアメリカンサモアに入港しようとしていた「夢丸」が、この規則のこともあって寄港地をウエスタンサモアに変更していました。この時はハワイのアマチュア無線局の方がコーストガードに連絡を入れてくれると言う事を申し出てくれていたので、連絡することは可能だったと思います。しかし普通は入港24時間前にどうやって連絡を入れたらいいのか、ちょっと見当がつきません。また連絡先が何処なのか、24時間前なら何時から何時までいいのか、ちょうど24時間前でないと駄目なのか、申し訳ありませんが詳しいことは殆ど分かりません。これから出航されると言う方、既に航海中で今後アメリカ領に向かう予定の方は、この辺りのことを大使館に尋ねる等してよく確認してみてください。またこの文章を読まれた方でこの件に関する情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、掲示板に書き込んでいただくなり、メールを送っていただくなり、是非詳細をお知らせいただけたらと思います。
◇アプローチ(アプラハーバー)
 日本からグアム島にアプローチする際には、目立ったハザードはありません。余りやらないとは思いますが、海岸線に近づき過ぎるとリーフがあるので、それに気をつける程度でしょう。
 南方面からアプローチする場合は、島の南側に位置するココス島とグアム本島の間はリーフがあって通れませんので、これだけは注意しましょう。
◇エントリー(アプラハーバー)
 アプラハーバーは原子力空母も入港するほどの大きな港ですので、アウターハーバー内(図の@→Aまでの区間)で迷ったりすることは殆どないと思います。点滅式のビーコンも、赤緑のブイも海図通りに整備されていますので、それらにしたがって進んでください。AのルートをBの方に転進せずにそのまま進むとインナーハーバーに入ってしまいます。こちらは軍港ですので、絶対に入らないようにしましょう。時節柄、しゃれでは済まなくなる可能性がとても高いです。AのルートからBのルートに転進する目印は、Aルート上を入港時進路右手側に見える2個の本船用ブイです。このブイの手前辺りまで来たら、Bルート方向に転進しましょう。
 Bルートに転進すると、その先はササベイです。マリアナスヨットクラブの所有するムアリングブイに、船上生活を営む会員達の住む数艇のヨットが舫っているのが見えるはずです。ササベイは図のようにロの字型の係留可能海域を持ち、その先は数100メートルのリーフが陸地まで続いています。ロの字型の海域をマークを見て浅瀬を避けながら時計回りの方向に進むと、ゲスト用のムアリングを拾うことが出来ます。2002年の時点で、転進の目印の本船用の2つのブイを過ぎてすぐの辺りにもムアリング用のブイがありましたが、それらは古いので使わないほうが良いと当時言われました。台風などの被害でもしマークが流されていて浅瀬がよく確認できない場合は、船の係留してあるムアリングの近くは少なくとも安全なので、それを伝うように船を進めればよいでしょう。ゲスト用のムアリングは概ね図上の矢印の先端のあたりにあります。もしメンバーが何処かの船上かクラブハウスに入れば、おそらく留めるべきブイまで誘導してくれることでしょう。
◇入港手続き
 前述したとおり、入港の24時間前に連絡義務があるようですが、詳細は分かりませんので大使館等にお問合せください。
 2002年の時点で管理人の場合は以下の通り。係留ブイを拾った後でハーバーマスターをVHFの16chで呼んだつもりでしたが、とにかく英語がからきし駄目だったので先方が何処か別のチャンネルに移れと言っているのが何となく分かった程度で、結局イミグレーションの人とも検疫の人ともカスタムの人とも全く意思の疎通が取れずに途方に暮れていたのを、ヨットクラブのメンバーが見かねて手配をしてくれたと言う体たらくでした。手続きは全てヨットクラブのクラブハウスで行い、検疫もカスタムも船には来ませんでした(多分。ちょっと正確には思い出せませんが、来なかった様に思います)。
 管理人が入港した時点で既にテロ後でしたが、まだイラク戦争も始まっておらずそう神経質ではないようでした。しかしその後どんどん決まりは厳しくなっていったようなので、現在どのような手続きで入港できるかは分かりません。※情報をお持ちの方は、お知らせ願います。
◇補給
 ヨットクラブにはスナックがありますが、食事は週末しか出ません。平日は夕方ビールなどは買えた様に思います。
 買い物の出来る最も近いスーパーまで、自転車でも20分から30分はかかります。徒歩で行くのはかなりの決意が必要です。グアムの水道水は飲めると言う人もいれば、飲めないと言う人もいますが、管理人は飲まない方が良いと思います。台風や大雨の後は、水が茶色く濁っていました。運ぶのが大変ですが、管理人は飲み水は買うか、雨水を溜めて使っていました。ちなみに飲料水を買うとするとスーパーでの買い物は食材プラス飲み物になるので、かなりの重量になります。やはり最低限自転車が欲しいところです。
 洗濯や食器洗い用の水は水道がヨットクラブまで来ているので、そこでポリ缶などに詰めて船まで持って帰ります。係留場所からクラブまではリーフが続いているので、ヨットを持ってきて直接給水をすることは出来ません。同様に、燃料の補給も直接は出来ないので、ガソリンスタンドでポリ缶に詰めてもらい、船に戻って燃料タンクに移す必要があります。
 プロパンガスは結構遠くまで詰めに行かねばなりませんので、クラブのメンバーに相談しましょう。皆さんとても親切です。国によっては日本製のシリンダーには充填してくれなかったり、そもそも口の形が違って詰められなかったりもしますが、グアムでは管理人の居た時点では問題無く充填できました。
◇洗濯とシャワー
 シャワーはヨットクラブで水道水のシャワーが使えます。水しか出ませんが、年中暑いので問題ありません。洗濯機は無いので、皆手洗いです。車があれば街中にコインランドリーを探すことが出来るでしょうが、管理人は使ったことはありませんでした。
◇インターネット
 管理人はタモンと言う観光街まで1時間半自転車を漕いでネットカフェに通っていました。日本語の表示できるパソコンが、当時はそこにしか見つからなかったからです。ネットカフェ自体はそんなに遠くまで行かなくてもあり、アガニアと言う街の図書館では無料で利用できたりしました。最近のOSなら日本語の表示は可能になっているかも知れません。
◇台風
 グアムは大変台風の多く訪れる島です。運悪く滞在中に台風が接近してくるようなら、ハーバーレフューッジ(避難港)に避難しなければなりません。避難港までの水路は大変浅く、喫水が2.3メートルの「新月」は満潮時にキールの底を時々擦りながら何とか入っていました。喫水が2.5メートル以上の船は難しいので、ササベイで何とかやり過ごす方法を考えねばなりません。
 避難港内での係留方法は4点留です。3から4メートルほどの水深に沈められたコンクリートブロック上のチェーンに、予めロープを結びつけたシャックルを取り付けていきます。詳しい方法やコツなどはヨットクラブメンバーの指示に従うと良いです。各艇最低でも8本から10本、多い船では20本くらいのロープを使います。この際、擦れ止めは非常に重要です。台風が直撃した場合、どんなに厳重にロープをとっていても擦れ止めを怠ればおそらくロープは皆切れてしまうでしょう。ちなみに擦れ止めには消防署払い下げのホースが大変良いそうです。
◇その他
 グアムの物価自体は安いとは言えませんが、消費税はありません。したがって一般消費生活に必要なものは、普通の水準で購入することが出来ます。
 しかし船具を現地で買おうとすると、かなりの出費を覚悟しなければなりません。エンジニアリングも同様です。船具に関しては時間の余裕が在るならアメリカ本土から通信販売で取り寄せた方がはるかに安く上がります。送料は米本土内並で、前述の通り税金はかかりません。
注意 ヨット「新月」の滞在期間は2002年6月より2003年2月までです。したがって上記情報も基本的にはその当時のものですので、現状とは異なっている場合が考えられますからご注意ください。